「ごいた」入門
第1章 ごいたの起因と由来
1.ごいた誕生
「ごいた」は、漁師町である宇出津だけに今なお楽しまれている、伝承娯楽である。
これは明治時代から盛んに行われて現在にいたっており、その語源や、いつ誰が考え出して広めたものかについては、はっきりとした資料などは残っていない。しかし、言い伝えや古老の話によると、創案者とおぼしき人物が二人浮かんでくる。
その一人は、宇出津新町の通称「布清」と呼ばれる商家の先々代・布浦清右衛門であると言われている。この人は集魚灯を考案したり、また能登で初めて造花技術をもたらしたほどの発明家であったそうだ。そのうえ絵や書をよくたしなみ、加えて無類の将棋好きで、この遊びを考えて広めたということであり、越中・越後路の旅で何かこれに似た将棋遊びを見て、それにヒントを得て、手を加えて編み出したものでないかとも言われている。しかし現在、その地方に特にこれに似たものがないようなので、この推測はあたっていないと思われている。
ともかく、今も「布清」付近の浜小路や田町から天保島町内あたりの漁師その他の人たちに伝えられ、今日に至っている。
いま一人は、同じく明治の人で、宇出津の棚木に住んでいた通称「三右衛門」であると言われている。この人は勝負事には至って研究熱心な遊び人だったので、この遊びを編み出したのではなかろうかとも言われ、また、前記「布清」さんの始めた遊びに長けていたのでそう言われているのかも知れない。今も棚木や新村方面の漁師その他の人たちの間で盛んに行われているのは、その故であるという説がある。
以上のことで、この二人が「ごいた」普及に何らかのかかわりがあったことは明白なようである。それ以前の記録や言い伝えは聞かないが、こうして始まったものでないかと考えられている。
2.ごいたの駒
「ごいた」は将棋に似た駒を使い、王・飛・角が各2枚、金・銀・桂・香が各4枚、歩(し)が10枚で、みな同じ大きさと形で、計32枚の駒を使います。すなわち将棋より歩の数が8枚少なく、また将棋と異なって駒の裏面は無印となっており、マージャン牌のように裏から見ては、表が何であるか分からないようになっている。
駒は、丈夫で肉厚もある真竹から作られたものが主流となっている。駒造りは、かつては遊ぶ人のほとんどが自ら製作もしたものであったが、今は駒を造れる人も少なくなってきた。1組の駒を製作するのに、早くても1週間はかかるとも言われている。
ごいたに興じるには、盤を使用する。打ったときの音も醍醐味の一つといえる。盤には縦横の条線の必要がなく、パチリといい音が出るような普通の板であればよいが、多くは将棋盤や碁盤を使用している。
3.ごいたの普及
終戦後、安宅健次という人が、この娯楽の名に「娯慰多」の三字を当て、紙で前述の駒を作り、ごいたの全国普及を図ったことがあったが、成功せずに終わったと聞いている。
昭和52年以来、能都町中央公民館(現宇出津公民館)が、この伝統ある娯楽の保存と、一般の青壮年層への普及を図ることを目的に、毎年正月に新春ごいた大会を開催している。
「ごいた」はもともと、大敷網漁を終えた余暇の時間を利用した、漁師の間で多く興じられており、また、夏場の漁番屋、御旅所、網干場など、浜辺や日陰の風通しの良い場所に、茣蓙や筵を敷いて楽しんでいる姿がよく見られる。これは、まさにこの土地だけに見られる夏の風物詩、宇出津の風物詩ともなっている。
近年では、伝承娯楽「ごいた」保存会が設立され、ごいたの普及と伝承に寄与している。保存会が主催する大会や各種事業は、これからの「ごいた」の生き残りを左右するといって過言でないだろう。
第2章 伝承娯楽「ごいた」保存会
1.保存会の誕生
能都町には、「公益信託能都町エンデバーファンド21」という、まちづくり活動に対する助成制度があり、地域の一層の振興と、まちづくり活動の一層の活性化を図ることを目的とする、独自の制度がある。
この制度は、一口に言えば、まちづくりに結びつくと判断されれば、「金は出すが、口は出さない」という有り難い制度だ。その反面、その審査は生半可なものではない。審査する先生方は、全国的な著名人を3〜4名含む、7名の委員で構成されている。
この制度に目を付けたのが、保存会設立発起人の面々であった。
今はどちらかというと、高齢者の間で興じられている「ごいた」は、そのうち忘れ去られていくのではないかという不安がよぎり、それを危惧して立ち上がった男たちがいた。とにかく、ごいたの保存と継承を事業に盛り込んで、企画書を提出したところ、審査する委員の方々から、逆に叱咤激励を受け、50万円の助成を受けることとなった。平成11年5月の話である。
2.保存会の活動
能都町エンデバーファンド21の助成は、単年度のみで、以降は、会費や大会の参加費・寄付金等で事業を行っている。
平成15年度の例でいうならば、次の事業内容となっている。
(省略)
3.「ごいた」番付の発行
ごいたの競技力及び参加意欲の向上を目的に、平成13年度から「ごいた番付」を発行している。勿論勧進元は「ごいた保存会」である。
番付編成会議公認大会は、平成12年度の3大会からとし、以降会員からの要望もあり、新たに保存会主催の大会を設け、今では下記の5大会が公認大会となっている。[平成18年度から「ごいた名人戦」が追加されてます]
・伝承娯楽「ごいた」選手権大会
・町民ごいた大会
・能都町長杯争奪ごいた大会
・全日本ごいた大会
・新春ごいた大会
上記の大会で、上位の成績をおさめると得点がつき、優勝回数や獲得ポイント計により番付が編成される。
優勝3回以上でないと、横綱にはなれないという規程があり、愛好者は横綱を目指し、日頃腕をみがいている。
この番付の登場は、ごいた愛好者にとって良い励みになっていることは、言うに及ばない事実である。
4.伝承娯楽「ごいた」保存会会則
(省略)
第3章 ごいたの競技方法
1.「ごいた」の競技方法
競技は2人1組となり4人で行う。組の構成は駒を4枚(同じ位の駒二組)裏にして、4人がそれぞれ駒を取り、同じ位の駒を取った者同士が同じ組となり向かい合って座る。また、両組のうち位の高い方の組から親を出すことになる。駒はかき混ぜた後、盤上に丸く輪を書いたように並べ、親は駒が見えないように上を向き(これを「あごのく」という)、親でない方の組の一人が任意の駒を押さえ、「それ」とか「1つ前」と言って、最初に取る駒を決める。
親から順番に左回りに一枚ずつ取っていく。8枚の駒は、丁度手のひらに収まり、他の人に見えないように打ち出して競技が始まる。
4人(A・B・C・D)の競技者において、例えばAとC、BとDが組となり、競技を行っていく。
親から打ち出して、その駒から「しりとり」方法で行う。次の人(左回り)は、手にそれがなければ「なし」と言い、また、あっても「なし」といって相手組と駆け引きを行うこともある。また、駒には次のような性質がある。
○飛・角・金・銀・馬は王で切る(競技用語)ことができる。すなわち、王は飛角金銀馬の代わりができるということです。
○香・歩(し)は王で切ることができない。親の第一打と、一巡しても他に駒を出す者がいなかった場合は、その一枚を伏せることができる、伏せる駒は、おおむね位の低いものが多くなります。
こうして8枚の駒を早く打ち出した方の組が勝ちで、「上がり」の駒(8枚目に出した駒)によって点数(後に説明)がつけられ、先に満点(その場の取り決めで何点でも。普通150点が多い)に達した組が勝ちとなる競技です。
同じ持ち駒でも、打つ人の考え一つでどの様にでも打つことができ、どちらかといえば駆け引きが勝負の運・不運を左右し、漁師の娯楽らしい競技である。また組同士で、誤った打ち方や32枚の駒の行方を誤って読んだりすると、これまた相棒からの非難をまともに受けることとなります。
「ごいた」は、相棒に叱られて上達するんだという格言がまかり通るのも、「ごいた」ならではのものです。
2.駒の枚数・上がり点と駒の特徴
前項で「上がり」を説明したが、最後に上がる駒の種類によって上がり点が下記のように異なる。また、蛙と蛇と蛞蝓のように、ごいたの駒にも三つどもえのような特徴を持たせている。
王は香と歩を切ることはできないが、飛・角・金・銀・桂は切ることができる。
すなわち、香や歩は、時には驚異な存在にもなるというものです。
上がり寸前の人は、2枚の駒を持っているが、王か香か歩で、その結果が大きく変わることを忘れてはならない。というより、ここが「ごいた」の面白いところかもしれない。
・王は、2枚あり、上がり点が50点。
・飛は、2枚あり、上がり点が40点。王で切ることができる。
・角は、2枚あり、上がり点が40点。王で切ることができる。
・金は、4枚あり、上がり点が30点。王で切ることができる。
・銀は、4枚あり、上がり点が30点。王で切ることができる。
・馬は、4枚あり、上がり点が20点。王で切ることができる。
・香は、4枚あり、上がり点が20点。王で切れない
・歩(し)は、10枚あり、上がり点が10点。王で切れない
3.こんな場合の上がりの点数
なかなか持てない駒であがったりすると、点数が倍になるなどの特典もある。たとえば、
・残り2枚が同じ駒で上がった場合は、その駒の2倍となる。
銀と銀であると、30点×2で、60点となる。
・同じ組の者同士が、歩5枚を持った場合は、その時点で勝ち。
歩が8枚の時は、100点。
歩が7枚の時は、残り駒の2倍の点数。
歩が6枚の時は、残る駒のうち高いほうの点数。
歩5枚の時は、相棒と相談して、続けるか再度駒を取りなおすかを選択することができる。
第4章 実践例から学ぶごいた競技
1.同じ配駒でも駆け引きで異なる競技
4人の配駒が下図の場合でも、2通りの実例を紹介しましょう。
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P |
甲組:能都太郎 |
(王・飛・金・馬・馬・歩・歩・歩) |
|
A-E-I-M-Q |
乙組:石川三郎 |
(金・金・銀・馬・香・香・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(角・金・銀・馬・香・歩・歩・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(王・飛・角・銀・銀・香・歩・歩) |
[実例A]■は伏せた駒、□は表を見せた駒を表す。
@■歩□馬 A□馬□金 B□金□馬 Cなし
Dなし Eなし F■歩□角 G□角□銀
Hなし Iなし J□銀□歩 K□歩□銀
Lなし Mなし Nなし O■歩□飛
P□飛□馬 Qなし Rなし S□王□香
乙組の能登四郎が最後に香で上がり、乙組が20点獲得となる。
同じ配駒で、ちょっと駆け引きが入ると次のようにもなる。
[実例B]
@■歩□馬 Aなし Bなし Cなし
D■歩□馬 E□馬□金 Fなし Gなし
H□金□歩 I□歩□香 Jなし Kなし
Lなし M■歩□金 N□金□角 O□角□香
Pなし Q□香□銀
乙組の石川次郎が銀上がり、乙組が30点獲得となる。
実例A・Bとも、乙組が勝ったが、実例Cは甲組が勝つことになる。
[実例C]
@■歩□馬 A□馬□金 B□金□歩 C□歩□銀
Dなし Eなし F□銀□歩 G□歩□飛
H□飛□歩 I□歩□銀 Jなし Kなし
L□王□歩 M□歩□香 N□香□歩 Oなし
Pなし Qなし R□馬□角
甲組の宇出津次郎が角で上がり、甲組が40点獲得となる。
このように、それぞれが、他の3人の持駒を想像し、併せて伏せてある駒が何であるかも予測しながら、打っていくのであるから、同じ配駒であっても多数の結果が出てくることになる。相手の顔色を伺いながら行う楽しみもある。
2.あっても「ない」というのが「ごいた」
自分の配駒があまりよくないと判断すると、自分が上がるより、もう一人の味方を上がらせることも、ごいたの手法の一つである。
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P |
甲組:能都太郎 |
(角・金・銀・馬・香・香・歩・歩) |
|
A-E-I-M-Q |
乙組:石川三郎 |
(角・金・金・銀・馬・香・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(王・銀・馬・馬・歩・歩・歩・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(王・飛・飛・金・銀・香・歩・歩) |
[実例D]
@■歩□角 A□角□金 Bなし Cなし
D□金□香 Eなし Fなし G□香□金
Hなし Iなし Jなし K■歩□飛
Lなし Mなし Nなし O■歩□飛
Pなし Qなし R□王□馬 S□王□銀
乙組の能登四郎が銀で上がり、乙組が30点獲得となる。
3.2人1組で行うのが「ごいた」
駒を打つことで、味方に自分の手の内はこうだよと、暗黙に教えることもできる。ごいたでは、普通味方の駒を受けるということは、あまりしないが、そうすることで味方に自分の手の内を知らせることになる。
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P-○ |
甲組:能都太郎 |
(王・角・金・銀・馬・香・歩・歩) |
|
A-E-I-M-Q-○ |
乙組:石川三郎 |
(飛・金・銀・馬・歩・歩・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(飛・金・銀・馬・馬・香・香・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(王・角・金・銀・香・歩・歩・歩) |
[実例E]
@■歩□角 Aなし Bなし C□角□歩
Dなし E□歩□歩 Fなし Gなし
Hなし I■馬□歩 J□歩□飛 K□王□歩
Lなし Mなし Nなし O■銀□歩
P□歩□金 Q□金□歩 Rなし Sなし
○なし ○□銀□飛
乙組の石川三郎が飛で上がり、乙組が40点獲得となる。
4.気心知れてくると、打ち方までわかってくる
2枚もの駒の後に、香がでると・・・!
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P |
甲組:能都太郎 |
(飛・金・銀・馬・香・香・歩・歩) |
|
A-E-I-M-Q |
乙組:石川三郎 |
(飛・金・金・銀・馬・香・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(王・角・金・銀・馬・香・歩・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(王・角・銀・馬・歩・歩・歩・歩) |
[実例F]
@■歩□飛 A□飛□金 Bなし Cなし
D□金□香 E□香□金 F□金□香 Gなし
Hなし Iなし J■歩□角 Kなし
Lなし Mなし N■歩□馬 O□馬□角
Pなし Qなし R□王□銀
甲組の宇出津次郎が銀で上がり、甲組が30点獲得となる。
5.「ごいた」にも定石はある
いろんな格言(定石)が生まれてきている。
1枚歩はいらない。2枚歩は大事にしろ。掛かりものがあれば歩はいらない。
馬は伏せやすい。などなど、競技をしていくと沢山でてくる。
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P-○ |
甲組:能都太郎 |
(王・飛・金・銀・馬・馬・香・歩) |
|
A-E-I-M-Q |
乙組:石川三郎 |
(角・金・銀・馬・香・歩・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(飛・金・金・馬・香・歩・歩・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(王・角・銀・銀・香・歩・歩・歩) |
[実例G]
@■歩□馬 A□馬□歩 B□歩□馬 Cなし
Dなし Eなし F■金□飛 Gなし
Hなし Iなし J■歩□金 K□王□銀
L□銀□馬 Mなし Nなし Oなし
P■金□飛 Qなし Rなし Sなし
○□香□王
甲組の能都太郎が王で上がり、甲組が50点獲得となる。
6.定石やぶりも「ごいた」の醍醐味
敵は、2枚の駒を残して上がりをまつが、歩か香かどちらかで、かわすことができるはずである。
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P |
甲組:能都太郎 |
(王・金・銀・馬・馬・香・歩・歩) |
|
A-E-I-M-Q |
乙組:石川三郎 |
(王・飛・金・金・銀・香・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(飛・角・銀・馬・香・歩・歩・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(角・金・銀・馬・香・歩・歩・歩) |
[実例H]
@■歩□馬 Aなし Bなし C□馬□歩
D□歩□馬 E□王□金 Fなし Gなし
H□金□銀 I□銀□金 Jなし K□金□歩
Lなし Mなし N□歩□馬 Oなし
P□王□香で上がり
甲組の能都太郎が香で上がり、甲組が20点獲得となる。
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P-○ |
甲組:能都太郎 |
(角・金・金・馬・馬・香・歩・歩) |
|
A-E-I-M-Q-○ |
乙組:石川三郎 |
(王・角・金・銀・銀・銀・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(王・飛・飛・香・香・歩・歩・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(金・銀・馬・馬・香・歩・歩・歩) |
[実例I]
@■歩□馬 Aなし Bなし C□馬□歩
D□歩□金 E□金□銀 Fなし Gなし
Hなし I■歩□銀 J□王□飛 Kなし
Lなし Mなし N■歩□香 Oなし
Pなし Qなし R■歩□香 S□香□銀
○なし ○□銀□王で角上がり
乙組の石川三郎が角で上がり、乙組が40点獲得となる。
7.配駒だけでほぼ勝負が決まる?
何度もやっていると、驚くほどの良い配駒を手にする時がある。
そんな時、ついつい色気が出て、こんな打ち方をしてしまう。
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P |
甲組:能都太郎 |
(王・王・馬・馬・馬・香・歩・歩) |
|
A-E-I-M-Q |
乙組:石川三郎 |
(飛・角・金・銀・馬・香・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(角・金・金・銀・香・歩・歩・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(飛・金・銀・銀・香・歩・歩・歩) |
[実例J]
@■歩□馬 Aなし Bなし Cなし
D■香□馬 E□馬□飛 Fなし Gなし
Hなし I■歩□角 J□角□金 Kなし
Lなし Mなし N■歩□金 O□金□歩
P□歩□馬 Qなし Rなし Sなし
○□王□王
甲組の能都太郎が王・王で上がり、甲組が100点獲得となる。
|
打順 |
打ち手 |
配 駒 |
|
@-D-H-L-P |
甲組:能都太郎 |
(王・王・金・馬・香・香・香・歩) |
|
A-E-I-M-Q |
乙組:石川三郎 |
(飛・金・銀・馬・馬・香・歩・歩) |
|
B-F-J-N-R |
甲組:宇出津次郎 |
(角・金・銀・馬・歩・歩・歩・歩) |
|
C-G-K-O-S |
乙組:能登四郎 |
(飛・角・金・銀・銀・歩・歩・歩) |
[実例K]
@■馬□香 Aなし Bなし Cなし
D■歩□香 Eなし Fなし Gなし
H■金□香 I□香□飛 Jなし K□飛□歩
Lなし Mなし N□歩□金 O□金□歩
Pなし Qなし R□歩□銀 S□銀□歩
○なし ○なし ○□歩□角 ○□角□銀
乙組の能登四郎が銀で上がり、乙組が30点獲得となる。
確実に少ない点数で上がることはできても、ついつい大きな点数をねらって、上のような打ち方をし、場合によっては勝ちをのがすこともでてくる。
第5章 これからの「ごいた」
「ごいた」は、珍しさも手伝ってか、近年マスコミに登場することが多くなってきた。
そのせいか、「ごいた」を教えてほしい、「ごいたの駒」がほしいという声も聞くようになってきた。
しかし、「ごいた」は、やっていくほどに奥深さがでてくるもので、一長一短にその遊び方を理解できるものでもないし、4人そろわないと競技できないということもあって、他の地域で普及していくことには、相当の難しさがある。
そんな中、「ごいた保存会」東京支部が、平成15年3月3日に発足した。ごいたは、教える側にも覚えようとする側にも、熱意があってはじめて普及するものと思います。
今、東京銀座にその火が灯りはじめました。時期同じく本年7月、能登空港が東京便2往復を開港することになりました。
首都圏能都町会や、金沢能都町会など、我がふるさとを愛する人たちのためにも、「ごいた保存会」がこれから果たしていく役割は大きいと感じています。「ごいた」発祥の地、能都町宇出津では、商工会のお世話もいただき、空き店舗を「ごいた教室」に開放していただいており、平生から愛好者の集いの場となっている。保存会では、いずれ「ごいた道場」を設立することを目的に、僅かながらも基金を設けて将来に備えている。
地元でも若い世代に「ごいた」が受け入れられるよう活動を進めているが、今回の「ごいた入門」の発行が、少しでもいろんな人に役に立てば幸いかと思っています。
最後に、「ごいた保存会」が今日あるのも、初代会長であった故干場三郎氏の功績を忘れてはならないことを、付記しておきたい。
*参考文献
『能都町史』第2巻 「伝承娯楽・宇出津のごいた」村山 覚 著
『ごいた入門』 平成15年7月19日 第1刷発行 発 行 伝承娯楽「ごいた保存会」 927-0433 石川県鳳至郡能都町宇出津ト字44番4地 能都町商工会内 0768-62-0181 編 集 「ごいた入門」編集委員会 洲崎一男、板井武暢、坂本弘勝、佐野勝二 |